失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿



かなはあたしのことを愛してなんかいない。


昔は人見知りが激しくて、あたしたち幼なじみの前でしか笑わないような子だったんだ。


それが社交界デビューして、あたしたちと会うことは減った。


でもあたしたちはかなが休みのときはよく遊んでいた。だってあたしたちもみんなで遊ぶのを楽しみにしていたし、大事にもしていたんだから。


しかしそれもいつからか、幼なじみで会うこともなくなった。


名前は聞く。


あぁしてるとかこうしてるって話はあたしたちには大事な話だから。


かなはきっと昔に戻りたいんだよ。


無邪気に何も考えず、ただ楽しいと感じていたあの頃に。


あたしを手の届くところに置いておきたいだけ。


そんなことなんかしなくてもあたしたちはいつでも連絡できる距離にいるし、会いにも行ける。


昔のようにはいかなくても、あたしたちは何も変わらないのに。


昔を取り戻すなんて無理なのに。


あたしたちは成長しているんだから。



――――――――未知との遭遇





< 220 / 509 >

この作品をシェア

pagetop