失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿



昔から子供っぽさがなかった武。


だけど、性格は案外子供っぽさが残っている。


だから、あたしは知っている。


武があたしを支配しようとする理由を。







「あたしはさ、かなのことを置いてなんか行かないよ」





あたしの口からでた言葉に、武が不思議な顔をした。



――そんな顔してれば可愛いのに



「武はあたしの事が好きなの?」


「好きだよ。だから、婚約もOKしたんだよ」


「かなの好きは違う好きだよ。あたしのことを愛してるんじゃないよ」


「違うね。俺は亜美を愛してる」


普通ならドキドキする言葉も今はドキドキしない。


「誓うよ。かなはあたしのことを愛してなんかいないよ」


そう言い残して、あたしはお金も出さず店から出た。


お金を残さなかったのは、それぐらい払ってよっていうあたしの遊び心。





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