失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿



……、気まずい。


シュークリームを食べて、落ち着いてみると、今の自分の状況を思い出した。



――武が来たんだった



それで気まずくなったんだ。



音楽室に入る前まであんなに緊張していたのに、その時の緊張感はきっと今頃は海の彼方。


ついついシュークリームを食べる手がとまる。



「……食べないのか?」


陽の心配そうな声。


それを聞くだけでとても申し訳なくなる。


「……いや、なんでもないよ。おいしいね、このシュークリーム」


あはは、なんて笑うあたしを見て、陽が眉間にしわを寄せた。


「何気にしてんのか大体分かるけど、俺たちは気にしてないから。亜美が来たくないって思うまでここに来ていいから」


「ま、来たくないって言っても連れてきそうだけどな」


陽の真剣な言葉。
颯太の笑顔。



これがあたしを元気にしてくれてる。


もちろんみんなも。



「俺たちは、亜美の家のこととか、会社のこととかわかんねぇ。だから、亜美はここに来い」


意味わかりません。


こんな感動的な場面で意味わからないこと言わないでください。


シラけます。


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