失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
陽達が出ていけばきっとややこしくなる。
「あたし今制服だし、ちゃんと深瀬亜美になるためのものはもってる。だから行かせて」
別に許可をとる必要なんて無いはずなのに、彼らに許しをもらえなければならない気がした。
「……兄貴がいるとはかぎらないんじゃないか?」
「いなかったら出なおせばいい。案外居るもんだよ」
嘘だ。
「嘘だな」
ばれました。
「でも、行かなきゃ気が済まないの」
行って、大翔のお兄さんに言わなきゃ気が済まないの。
“あんたは陽たちの何を知ってるんだ!”って。
「……好きなようにしろ」
陽はあたしを抱き締めたまま、力強く、背中を押してくれた。
「陽がいいなら俺らは何も言わないよ」
優真君の言葉にみんなも頷いていた。
「よしっ!そうと決まればさっそく動き始めるか!……ダメ元で聞くけど髪巻くコテとかないよね?」
「あるよ!」
「うそぉ!」
「前に大翔が……まぁこれは今度。いいから使え」
大雅はだいぶ隅に追いやられていたコテを救助してきた。
「ありがとう。ちょと変身させていただきます」