失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
ついたのは昔来たことがある、武の部屋。
「なつかしー」
「中身は変わってんぞ」
「そうなの?」
昔は子供らしくカラフルな家具が多かったイメージがあった。
しかし、今回はまったく違った。
「なんか……黒い」
「落ち着いた感じにしてみました」
「……」
なんか、最近武がよくわかんないです。
武の部屋はモノクロにスッキリとまとめられた、大人っぽいものになっていた。
「まぁ座れよ」
武に促されて座ったテーブルの向かい側に亜美も座った。
するとすぐに部屋がノックされ、二人のお昼を運んできた。
「ありがとうございます」
亜美が笑顔でお礼を言えば、運んできた彼女は笑顔で頭を下げた。
「思ったよりはやかったな」
「……まぁ色々ありまして」
よく分からない道を通ってきた、とは言いにくい。
「道路交通法はちょっとしか違反してない」
「は?」
「スピードだけ、ね」
「あぁ。いや、別にそんな急がなくてもよかったのに」
「まぁ間に合った理由はスピードだけじゃないから」
まぁ、苦笑いしかできない。