チョコとトマト標識
もともと全て話して相談する気で居た私は、いい機会だと思って昨日のことをそのまま話した。
そして、話を進めていくなりおねえちゃんの顔をどんどん歪んでいって。
「――――というわけで、その人を探してるの」
「……じゃあ、本当に好きっていうのは、わからないのね?」
「…う、うん…?」
曖昧な返事を出す私に、お姉ちゃんは頭を抱え込んだ。
顔も見たことない人を好きになったから、あきれているんだろうか。
それとも、好きかも分からないって所にあきれて…?
「あーうん。だいたいわかったわ」
顔を上げてからも目を泳がせて唸るお姉ちゃん。
「とりあえず、その人に会って見たいのね?」
「え、うん。まあ」
頭をこくん、とわずかにうなずかせると、お姉ちゃんはごほん、と咳払いをして、
「大丈夫。待ってたら会えるから。女の勘よ」
いつになく真剣な表情をしたまま、かっこよくそうきめる。
「ほ、本当に…?」
困惑気味のまま、私がそうたずねる。
「うん。わかる。アタシの勘がそういってるから」
それでも自信満々のまま、大きく頭をうなずかせるお姉ちゃん。
ちょっと信用できないけど、昔からお姉ちゃんが『勘』と言って、当たらなかったことがあまりないような気がして、とりあえずまた頭を上下に小さく振っておいた。