チョコとトマト標識

明らかに気味悪がっている声が、腹痛で更に痛い腹を突き刺すように私の名前を呼ぶ。

ロボットのようにぎこちなく、私は顔を後ろに向けてみると、呆れ顔の藤木くん。


「お、おぉ、やっほぉ~」

「………昨日、悪かったな」

「へ?」

「いや、だから……」

「ああ、大丈夫! 全然気にしてないから! …そ、それより生徒会って意外と活動しないんだな、って驚いた」

「あ、あぁ。まあ」


…明らかに唇の青くない藤木くんの様子がおかしい。

昨日からだけど、すごいぎこちない気がする。


「…あとさ、今の、見てた…?」

「あーいやーアレだねぇ、青春って感じだった…!です。うん。ごめんね、あの」


とかいって私もぎこちなくなってどうする…!!

丁度良かったのか、バッドダイミングだったのか言いにくいけど、朝のチャイムが鳴った。


「あ、えと、ばいばい…!」

「あ、じゃあな」


軽く挨拶をした後、とりあえずダッシュで教室にスライディングを決めた。





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