チョコとトマト標識
――――
「あの、その…藤木くんのことが…好き、なの」
「………ごめん、俺」
「…あ、あ、い、いいいいいいのっ!! ごめんね! いきなり、誰だよって感じだよね…! あ、聞いてくれて、ありがとうございました!」
朝マフラーを適当に巻いて廊下をスタスタと歩いていると、そんな青春だなあ、って会話が私の耳に飛び込んできた。
興味津々に隠れて覗いたら、告白されていたのは藤木くんで。
「………」
女の子が真っ赤な顔をして、私の隣を駆け抜けて行った。
藤木くんは一人突っ立ってうつむいたまま、静かな沈黙の空間を作る。
流石に今あいさつしたら悪いよなあ…。
なんて思って、でもどうしても藤木くんが立つ廊下を通らないと私の教室にたどり着けなくて。
私はどうやって通るか頭を悩ませた。
やっぱり挨拶して通るべきか、それともぼーっとして気付かないフリ…あ、でもこれすごい失礼だ。
考え事をしていると、どうしてだか腹痛が起こるのは昔からで、とりあえず意味もなく白い壁におデコを打ち付けてみた。
「………米宮」
「あの、その…藤木くんのことが…好き、なの」
「………ごめん、俺」
「…あ、あ、い、いいいいいいのっ!! ごめんね! いきなり、誰だよって感じだよね…! あ、聞いてくれて、ありがとうございました!」
朝マフラーを適当に巻いて廊下をスタスタと歩いていると、そんな青春だなあ、って会話が私の耳に飛び込んできた。
興味津々に隠れて覗いたら、告白されていたのは藤木くんで。
「………」
女の子が真っ赤な顔をして、私の隣を駆け抜けて行った。
藤木くんは一人突っ立ってうつむいたまま、静かな沈黙の空間を作る。
流石に今あいさつしたら悪いよなあ…。
なんて思って、でもどうしても藤木くんが立つ廊下を通らないと私の教室にたどり着けなくて。
私はどうやって通るか頭を悩ませた。
やっぱり挨拶して通るべきか、それともぼーっとして気付かないフリ…あ、でもこれすごい失礼だ。
考え事をしていると、どうしてだか腹痛が起こるのは昔からで、とりあえず意味もなく白い壁におデコを打ち付けてみた。
「………米宮」