甘い君の唇にキス~恋の秘密は会議室で~
パソコンを開いて課長にメールを打った。
キーボードを叩く音が軽やかなのは今朝のトラブルが難なく片付いたから。
午後6時過ぎの営業部のフロアには営業が数名残っているだけ。
アシスタントは殆どが派遣社員だからか、定時になると皆帰ってしまう。
6時半から外線が留守番電話に切り替わるため、事務所は静かだった。
ついでに週報も書いてしまおう。そう思って、またキーボードを叩いた。
「お疲れです」
ドタドタと足音がして、ガタッと乱暴に椅子に腰掛ける。
孝太が外出先から戻ってきた。
顔を上げないまま「お疲れ」と声を掛けると、なんとなくじっと見られている気がした。
気のせい? もしかして、あたしが原口主任と同行したから妬いているの?
……まさかね?
「センパイ?」
「へっ?」
顔を上げると孝太が神妙な面持ちであたしを見ていた。