眠れぬ夜は君のせい
頭の中は、いつも彼が占めていた。

心の中は、いつも彼でいっぱいだった。

そこに花があるみたいで、ただ思ってた。

思えば、花が咲いたみたいに私は幸せだった。

彼がそこにいるんだと思うと、私は幸せだった。

けど今は……。

冷たい手を強く握る。

握り返してこない。

彼がここにいないことを知らされた。

「敦仁さん…」

約束する。

あなたと過ごした思い出を忘れないことを。

あなたと過ごした日々を、忘れないことを――。
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