眠れぬ夜は君のせい
ただでさえ、つらいのに。

ただでさえ、苦しいのに。

「アリ」

車を運転しながら、彼がアタシを呼んだ。

「今日のこと、怒鳴ったりして悪かった」

ああ、それか。

アタシは首を横に振る。

「気にしてないです。

怒鳴られるのはいつものことですし。

それに…アタシが悪かったことですから」

「……またアリに、迷惑をかけたな」

呟くように言って、運転に集中する。
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