眠れぬ夜は君のせい
忘れるつもりだったのに。

忘れるつもりで、彼に抱かれたのに。


「昨日本当に心配したんだから!」

「ごめんって」

朝からヒロに会うなり、さっきからこのやりとり。

「いきなりいなくなったうえにケータイも繋がんなくて大変だったんだから!」

「ホントに勘弁して」

もう何回このセリフを繰り返しているのだろう。

正直、もうめんどくさくなってきた。

「あ、そう言えば」

思い出したようにヒロが言った。

「昨日の合コンに参加してた水川岳くん、藍子の元彼の弟だって」
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