眠れぬ夜は君のせい
言ってはいけない言葉だと言うことくらい、わかっている。

「じゃあ…お願いしよっかな?」

「お疲れ様でした」

「神代くん、ごめんね。

今度何かお礼するから」

お礼…?

何気に言った彼女だけど、俺の心はざわついていた。

「じゃ、また」

彼女は会釈すると、俺の前を去る。

そんな彼女の後ろ姿を見送った俺は、理解した。

俺は……彼女――桜子さんに恋をしてしまった。

相手は人妻、つまり旦那がいる。

けど、知ってしまったこの気持ちを止めるのは、無理だった。
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