眠れぬ夜は君のせい
「お前は明日から俺の専属メイドとして働く。

俺が指導をするから仕事内容をちゃんと覚えるように、いいな?」

そう言った俺に、
「はい」

彼女が返事した。

「それから、お前には名前がなかったんだよな?」

そう言った俺に、彼女が首を縦に振ってうなずいた。

「今からお前に名前をつけてやる。

いつまでも“お前”ばかりじゃ嫌だろう?」

名前はすぐに浮かんだ。

「“あげは”だ」

「――あげ、は…?」

彼女――あげはが不思議そうに聞き返した。

「あげは蝶と言う昆虫からとったんだ。

嫌か?」
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