眠れぬ夜は君のせい

├冷たい牢獄

「離婚しようと思うの」

桜子さんが言った。

仕事が終わり、いつものようにマックで食事をしていた。

「離婚って…」

それは、俺のせい?

桜子さんは、
「元から、うまく行かなかったの」

呟くように言った。

「あの人はいつも忙しくて、構ってくれない。

もう、あの人にも触れていない…。

どんなにマジメで、どんなにお金があっても、寂しかった。

あの人が、もうわからない…」

桜子さん…。

今にも泣き出しそうな彼女に、俺はハンカチを差し出した。
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