眠れぬ夜は君のせい
「――性欲処理だなんて思うな」

そう言った俺に、あげはは濡れた視線を俺に向けてきた。

「押さえ切れないから…。

歯止めなんて利かないから…」

俺の中の本能があおられる。

俺の中を支えていた理性が消える。

こんな気持ちは、初めてだ。

誰かに対してこんな気持ちを感じたのは、生まれて初めてだった。

自分の気持ちを押さえることができない。

自分の気持ちを隠すことができない。

自分の気持ちに、歯止めを利かすこともできない。

「――あげは…」

一体どうしたのか、自分でもよくわからない。
< 47 / 252 >

この作品をシェア

pagetop