魔王様はボク
ボクはふと目を閉じた。
なんだか不思議な気分だ。
新しい世界に来たという実感が沸かない。
これは夢なんじゃないか。
そんな感覚に纏われている。
例えるなら修学旅行みたいな。
来たことない場所にいるはずなのに、日常の一部になっているような感覚。
「痛っ…。」
その時コツンと額に何かが当たった。
いやコツンじゃない、ゴツンだ。
結構痛かった。
額を押さえながら目を開き、横を見ると方位磁石が現れていた。
どうやらこれが額に落ちてきたらしい。
猫が取ってきてくれたらしい。
本当に取ってきてくれるとは思わなかったけど。
それにしても視力といい方位磁石といい、痛くない方法はなかったんだろうか。
額から方位磁石へと手を移し、弄んでみる。
丸く平らな形をしたそれの輪郭をなぞったり、意味もなく裏返したりしてみる。
そんなことを繰り返しているうちに、瞼が重くなってきた。
ボクはその力に逆らわず、目を閉じた。
意識が沈没したり浮上したりする。
うつらうつらとしていた。
意識の底を見つけたボクは、迷わずにそこに潜っていく。
「レオン、明日は魔力のこととか教えてあげるよ。改めてよろしくね。おやすみ…。」
上の方からフェイの声が聞こえてきた。
間延びしてないし、もしかしたらボクの気のせいかもしれない。
寝ぼけているのかどうか、ボクに知る方法はない。
そのままボクは欲求に身を任せ、意識を投げ出した。