魔王様はボク
タオルを拾い、再び髪の水分を吸収させた。
長い髪はそれなりに不便だな。
そのうち切ろう。
そんなことをぼんやり考えた後、タオルをかかっていた場所に戻し、そこから出た。
部屋に戻って最初に目についたのはフェイ。
文字通りゴロゴロしていた。
寝転がっているの比喩ではなく、寝てなおかつ回る。
何しているのかは疑問だが、触れていいのか分からないので放っておこう。
「おかえりぃ。僕は偉いから覗いたりしてないよぉ。」
わざわざ言うあたりが怪しいのだが、別に構わないかと思うのでつっこまない。
それよりフェイの翼がなくなっているのに気づいた。
それによってゴロゴロするのが可能になっているわけだが。
もしかしたら自由に仕舞える物なのかもしれない。
「次僕お風呂入って来るねぇ。覗かないでよぉ?」
「覗かないよ。」
覗くと思ってるのかな。
そんなことしてどんな得があるんだよ。
フェイは鼻歌混じりにお風呂の方へと消えて行った。
ボクは後ろ向きに布団にダイブした。
目の前に天井が現れる。
少々ヒビが目立つが、地震で壊れたりしないよね。
というか地震がある世界なんだろうか。
ボクはこの世界のことをまだ全然知らない。
明日からも色々知らなければならない。
自分が未知に対する恐怖より、好奇心が勝っていることを自覚する。
根っからの探検家気質なんだな、うん。
そういえば猫に貰ったペンダント、脱いだ服と一緒に置いてあったけど、服と一緒に無くなってた。
あれは一体どうなるんだろう。
この宿屋の従業員って入口にいたの以外会ってない。
まさか一人で運営してる、わけないよね。
入口にいたのは兎だった。
比喩じゃなくて。
過剰な反応は自分の嘘をばらすだけだと我慢していたけど、実はとても驚いた。
兎の姿をしているが、背丈は大人の男性くらいで喋るのだ。
フェイは彼は自分と同じ上級魔族だと言っていた。
魔族には、フェイみたいに人間のような姿をした者もいれば、獣そのものの姿の者もいるんだと教えてくれた。
多分あれはボクがいた世界では魔人とでも呼ぶんでは、なんて考えが今更浮かぶ。
でも兎だしな。
リアルなやつなのが残念だよ。