ありのまま、愛すること。
しかし、「和民」を展開したときに考えたいちばんの問題は、「いかに冷凍食品文化から脱皮するか」ということでした。

後発のチェーン店に当たる和民が、大手居酒屋チェーンと同じ商品を売っていては、勝てるわけがありません。

そこで我々は、「つぼ八」の創業社長にアドバイスを求めました。

彼のアドバイスはこうです。

「冷凍食品の代わりに、生の半完成品を作ってもらえばいい。いるだろう、周りに。20年も30年も包丁を使ってきたプロが……」

それは「主婦」の方々のことでした。

「調理経験豊富な主婦こそ、冷凍食品技術に対抗できる、最高の職人だ」

と、この社長は、言い切ってくれたのです。

この後、手づくりの業態に対する不慣れもあり、立て続けに大赤字の店を出してしまうことになったものの、そこを巻き返すことができたのは、他ならぬ、パートさんの習熟による作業の安定性によるところが大きかったと思います。

「主婦として当たり前のように行ってきた技術が生かせるのは、魅力でした」

とおっしゃってくださったパートさん。ワタミではこうしたパートさんの力に支えられて今日があるのです。

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