ありのまま、愛すること。
その2年後、89年6月30日、今度は次男の出産の日でした。

前日28日の夕方に陣痛に見舞われた妻を、私は病院に送り届けました。

そして翌日の深夜、正確には日付が変わって30日1時41分、3234グラムの大きな男児を、妻は無事に出産することができたのです。

相当な難産で、私は分娩室の前で神に祈らずにはいられませんでした。

妻子と対面したとき、私はどれだけ安堵したことか。

どんなに頑張っても男性は子どもを産むことはできませんから、祈るしかないのです。

このときも、ただ涙で、さすがに疲労困憊している妻に話しかけました。

「元気そうな男の子だよ。洋子、よく頑張ってくれた。ありがとう。俺は、君と子どもたちを幸福にするために命を賭けることを誓うよ」

次男には、「烈士」と名づけました。

「節義に固く、信念を貫き通す強い男子」という意味です。

私は次男に、

「自分の信念を大切にする男。われに正義があるのなら、たとえ敵が1000万人といえども、われ行かん」

そんな生き方をしてほしいと考えたのです。


< 125 / 215 >

この作品をシェア

pagetop