ありのまま、愛すること。

それほどまでに息子である私に会いたがった母。

でも、それではなぜ、専業主婦の立場で四六時中、私といることを選ばなかったのでしょうか。

それには、まず父と交際が始まったころから、父の秘書をしていた、それがスタートだったということが大きいと考えます。

テレビのCM製作会社をつくった父から、先に立ち上げていた映画の広告代理店のほうの社長になることを要請されるのですが、それへの責任感も強かったでしょう。

ですが、やはり私が思うのは、社長を任されるほど有能であったことがありますし、女性として仕事のなかでも自己実現するという意識の非常に高い女性だったような気がするんです。

専業主婦でなかったがゆえに、母としての時間が限られてきます。限られているゆえに、母子の結びつきが強かったのではないかということも言えます。

いつもいる安心感よりも、いっしょにいられる時間を大事にすることで、二人の濃密な関係は保たれた。

何事においてもそうであると私は考えるのですが、時間の長短ではないと思うん
です。

やはり、人と人との関係は密度に勝るものはない。