ありのまま、愛すること。
グループの経済活動により排出している二酸化炭素の量は、年間約10万トン。

この量の二酸化炭素を吸収するためには、6800ヘクタール以上の森が必要となります。

私の目の前に広がる「ワタミの森」は、9ヘクタールとはいえ、かなり大きな森です。

この森ができあがるのに50年かかり、それが地球温暖化のために病気となり、伐採される。

1本1本植えられるその樹が一人前になるのにおよそ20年。

これから私たちが力を合わせて森をつくり、果たしてどこまでの大きさになるのか。

10年かけて手を入れられる森が50ヘクタール。

うまくいって100ヘクタール。しかし、そこには病気で伐採しなければならない木々があり、まだ植えたばかりの木々もある。グループの経済活動が拡大すれば、その排出される二酸化炭素の量もおのずと増えるはずです。

試しに、1本の杉をチェーンソーで切らせてもらいました。

事前説明のなかに、「笛を吹いたら逃げよ」というものがあったのですが、そのチェーンソーの大きな音で聞こえませんでした。

さほど大きな杉を選んだわけではなかったのですが、倒れるときの、その杉の重量感に圧倒されます。

それもそのはずで、10メートルからの樹で、細いものでも400~500キロあるそうです。自然というものが、母なる地球というものが、50年という歳月をかけて育んできた「生命」を感じました。

「ワタミの森」は、ワタミの環境への取り組みのふるさとと考えています。

いまはまだ、たったの9ヘクタールですが、この森を訪れた方一人ひとりが、「地球と自分」との関係を見直してくれればと、願いを込めているのです。

この山の生命を取り戻そうと設立したNPO法人は、その名も「リターン・トゥ・フォレスト・ライフ」。

山武の死んだ森が、その生命を取り戻すときのことを思うと、心の底からワクワクします。

本来の人の生活は、自然と共にあるべきだということを、この森は、私たちに教えてくれるはずです。

「経済」よりも大切なものがあると、教えてくれるはずです。

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