ありのまま、愛すること。
そこで、地球にひとつの教科書を作りたいと考えるようになりました。

きっかけは、地球から飢えや貧困がなくなり、悲しみの涙が一つでもなくなったらいいという願いからでした。

さらに、美しい地球が美しいままであり続けてほしいという思いがあり、世界中の子どもの笑顔が輝いていてほしいという祈りがあり、いつの日か、世界がひとつになったらいいという思いがあったからです。

ある日、この教科書を「絵本」にしようとひらめきました。

絵本の持つ親しみやすさや、言葉以上の表現力が必要と考えました。

内容は、世界のどの国の子どもであっても、自らの国に誇りの持てる、引け目を感じないものとしたいと考えました。

日本の子もカンボジアの子も、地球における自分の役割を見出せるような、メッセージ性のあるものにしたいと考えました。

舞台は沈みゆく島。これは、環境が破壊され、壊れゆく地球のイメージです。その島の住人を、日本、アメリカ、カンボジア、それぞれの国を一人の子どもとして絵で表現します。GDPの大きさ、人口、1日の平均労働時間、幼児の死亡率、CO2の排出量、酸素の供給量などを、顔かたちや、動き、仕草などで表現しています。

この地球を見渡せば、「お金を持っている国」「自然を持っている国」「食糧を持っている国」「科学技術を持っている国」と、それぞれ何かしらの大事なものを持っている国々が集まっています。

それは、一人ひとりの人間に似ています。

それそれの人間には長所があり、短所があります。

誰もが何かしらの使命を持って生まれてきたと私は信じています。

国も同様でしょう。

それぞれの国が、それぞれの役割を果たすことで永続的に存在し得るのです。


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