ありのまま、愛すること。
そこで、農地を売り、子どもを売ろうとしている大人たちに「職」を提供することも、孤児院の設立と共に必要なのだと気づき、カンボジアで農業を開始することにしました。

こうしたわずかな、しかし確かな一歩を積み重ねていくことこそが、いまの私の使命なのです。

しかし、残りの人生の限られた期間で、それを実現できるのかという焦りもあります。

いや、この夢は大きすぎて、重すぎて、今生の自分だけでは追いつかないという絶望的観測もある。

つぼ八からスタートして27年間、ここまで突き進んできましたが、その半生の帰結がそこに向かっているんです。

あと何十年生きられるかわからない時間で実現できないのだとすれば、私は生まれ変わってでも、来世ではそれこそを実現しなければならない。

今回の東日本大震災では、陸前高田市の復興の支援をしています。

被災者の方々の完全な復興には、長い年月がかかるでしょうが、たとえば、可及的速やかにしなければいけない第一支援は、ここ1、2年にはが立っていくレベルだと考えています。

いまは大変な状況ですので、ぜひ自分がお手伝いをさせていただきたいと考えて、現地を訪れているんですが、これが軌道に乗ったときには、私自身は被災地を離れて、発展途上国の人たち、子どもたちのために全身全霊を注ぎたい。
私をして、そこまで突き動かすものとはなんなのか─。

それは、私にもわからない。

でも、自分には、困っている方々の味方でいなければいけないという強迫観念があるんです。

れば、その思いの走りとなったのは、中学生時代に行っていたボランティア活動です。

体の不自由な子どもたちの施設を訪問して芽生えた意識が最初でした。
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