ありのまま、愛すること。
私が幼いころ、父は家にはあまりいなかったし、母も多忙だったので、私は家にいる祖母に甘やかされて育ちました。

食事もほとんど祖母の味。

母は、小遣いも言うだけ与えてくれ、いっしょにいられる短い時間に、集中して愛してくれました。

溺愛されて育った私は、わがままになります。

勉強も運動もできて、かつガキ大将。

周りの子はみな子分でした。

先生のいない教室で、私が竹刀で床をバチンとやれば、みな静かになったものです。

そのうえで、みなを正座させたりした、いま思えばとんでもないクソガキ。何でも自分が一番でなければ気がすまなかったのです。

でも、人の道に外れることだけはしなかった。弱い者をいじめることや、万引きなどは一度もしなかった。

母の口癖は、

「嘘をついてはいけません。相手のことを考えて行動しなさい。そのうえで、好きなことをするのなら、どうぞおやりなさい」

母のこの言いつけを守り、間違ったことはしなかったつもりですが、度が過ぎてしまったことは……しばしばあったかもしれません。
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