ありのまま、愛すること。
私は、母の寝室の布団にもぐり込んでいくような子どもでした。

本当にマザコンだったのです。

母は、若いころの松坂慶子さんのようなイメージのとてもきれいな人。母の匂いは、甘い匂い。香水のそれではなく、甘い匂いのする人でした。

そして、とても楽しそうに歌う人。

母が歌っている『ゴンドラの歌』のテープが残っていますが、それは私の宝物なのです。ただ、あまりに記憶を呼び起こしすぎるので、今の私はそれを聴くことができません。

思い出の料理は、酢豚。これは、とてもおいしかった。

仕事では白いスーツを着ていたと書きましたが、学校にもその格好で現れて、みんなが振り向くような女性でした。

口癖は、

「美樹さん、好きだよ」

その優しい声色が、今も耳に残ります。
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