ありのまま、愛すること。
その母に、私が小学3年生のころ、日記を書きなさいと教えられました。

「今日あったこと、考えたこと、1行でもいいから、記録に残しなさい」

いまも日記は私の行動基準になっていて、その習慣は大きな財産です。母自身も、メモのような日記を書いて、ベッドの横に置いていました。

何が書いてあったのか、あまり気に留めたことはなかったのですが、日々の行動であったのでしょう。

いま思えば、こっそり覗いておけばよかった。

もうひとつ、母がいつも言っていたのは、

「うがい、手洗いをちゃんとしなさい」

母は、腎臓を痛めたきっかけが風邪だったそうです。

だからか、風邪をひいてはいけないと繰り返していました。

「美樹さんはとにかくすごい子で、すごいことをやる子なんだから」

毎日言ってくれるその母の言葉が、私のなかにすり込まれていきました。



小学1、2年生時の担任の先生は、よく私にこう言いました。

「渡邉クンは大泥棒になって捕まるか、総理大臣になって日本をひっくり返すか、どっちかになるよね。教師生活のなかで、こんな子は見たことがない」

それを母に伝えたとき、母が言ってくれたことを私は忘れることができません。


「美樹さんが大泥棒になんてなるわけないじゃないね。あなたみたいないい子はいない。あなたみたいな優しい子を見たことがない」
< 37 / 215 >

この作品をシェア

pagetop