ありのまま、愛すること。
あの出来事が、私の人生をすべて変えました。

葬儀は盛大そのもので、仕事関係や学校関係など、いただいた花輪がずらりと並んでいましたが、その盛大さは私にとってなんの意味もなさなかった。

その直後から、鬱の症状も出始めました。

私たちが住んでいた自宅アパートにある大型のカラーテレビにも、目を向ける気にもなりません。

子ども部屋に閉じこもった私は、食欲もなく、夜も眠れない。当時の私の日記には、「頭が痛い」だとか、「僕は明日死ぬ」などと書いてあります。

ボーっと道を歩いていると、「ここにつばをはかないと、僕は死ぬ」と思うこともありました。妄想に近い状態に、そのときの私はいたのです。



母を喪って後、しばらくそうした軽い鬱の状態が続いていた時期にも、「いつかこの状態から抜け出さなければいけない」という思いは当然ありました。

なんとかしなければいけないという思いを行動に移す。その背中を押してくれたのが、父から打ち明けられた“母の覚悟”でした。
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