ありのまま、愛すること。
集中治療室から、母の体は霊安室へと運ばれた。

傍らにぴたと、私は張りついて離れなかった。

ずっとつきっきりで、声を出さずに泣いた……。

措置を受けている母の姿。

それが、私が生前に見た、愛する母の生前の最期の姿だった。

1969年5月16日。

母は36歳の若さでこの世を去った。

10歳の私は泣き崩れるしかなかった。

人生のすべてが、終わったと思った─。
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