ありのまま、愛すること。
まず、一つ言えることは、周囲の、私を取り巻く人間に対しても、非常に奉仕の精神の強い人間であったのは間違いありません。

というのは、先述しましたが、小学生時代の私が友人を家に呼んだ際などに、母が彼らを歓待する姿、自分にふだん、あれだけむつまじい溺愛ぶりを見せてくれる母が、友人たちに対して、わが子に接するような態度で相対していたからなんです。

それは、私の記憶の都合のいい調合なのかもしれないのですが、自分の息子と差なく、彼らにも接する態度に私はかなりの嫉妬を覚えたものです。
友だちは他人なんだから、そこまでしなくていいのに、友だちなんかに優しくしなくていいのに─。

そういう種のジェラシーを、強く覚えたものでした。

子どもながらに、「俺だけを見ていてよ」という気持ちを強く抱いた。

地球上の誰よりも溺愛された私がそう思うくらい、他人にもサービス精神の旺盛な人ではあったのだと言えます。
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