ありのまま、愛すること。
母からもらったもの、マザー・テレサから学んだもの─。

それは、「母親の愛は究極の愛」であるということ。

父親から受ける愛、男女の恋愛の強さ、友情の強さ……おしなべて、それらを遥かに超える究極の強さを持つものであると思います。

自分が傷ついても、どんなに傷ついても、わが子だけは守るという愛の形は、マザー・テレサが弱き者たちに捧げ尽くした愛の形と重なるものなんです。


この場合、子どものためにならすべてを捧げられるという覚悟は、世の母親であれば多くの人がそういう気持ちでいるに違いありません。

それは、本能に等しいものだと思っています。

ただ、愛情を捧げる方法の度合いについては、ただただ溺愛するということがすべて、正しいこととは限らないとも私は考えます。

別章で詳述していますが、私は私学の理事長をしているのですが、そのなかで、本当にさまざまな親子の形を見てきています。

なかには親の度を過ぎた愛情を理解できず、親の望む方向と違う育ち方をする子も少なくありません。

しかし、過保護にいちばん気づかないのは、愛情を捧げ尽くしている親である場合がほとんどなのです。
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