ありのまま、愛すること。
最近の親御さんたちを見ていると、愛し方を間違えて、過保護に、ただ愛情を注いで、子のわがままでもなんでも受け入れてしまうことを愛なのだと盲信している場合が多々あります。

だから、ある程度、自分が注いでいる愛情の形を客観視するという作業が大事なのではないかと思うのです。

愛情を表現するということは、わが子が幸せになるのが目的であって、自分が愛することに満足することではありません。

そう考えると、自分が捧げる愛情は子が成長していくための手段であり、つまりは、捧げる愛情は、ときにセーブしなければいけないこともあるということに、親が気づくべきでしょう。

母親が子を産んで、自分が亡くなるまでにいっしょにいられる期間というのは、
女性の平均寿命から考えれば、長ければ60年以上もあるかもしれません。

私の場合は、世の母親がわが子とこの世にいられる60年を、10年間に凝縮した愛情の表現でした。

ただ、では50年も60年もいっしょにいられる母親は、私の母が注ぎ込んだ10年間を拡散する必要もまったくない。凝縮できる愛情表現が60年あってもいいんです。
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