FRESH LEMONADE
――諒介Side


なるほど…




体育館に着いた瞬間に理解した。

なぜ玲子が俺を呼びだしたのか。




「…気づいたみたいね?」


英嗣が梨菜さんと話だした瞬間を狙って、玲子が話しかけてきた。

当たり前だが人に聞かれて嬉しい話ではないから小声で、だ。



「俺のせい、なんだよな…」


「分かってるなら早く何とかしなさいよ…」


「何とかって…」



出来るんだったら、1分でも1秒でも早く何とかしたい。

ただ…

いまのこの状況、下手に俺が動いていいものなのか…


俺が不用意に動くことで、更に松岡さんを追い込むことになりかねない。



「気、遣ってるんでしょ?」

「…遣うだろ、それは」

「…何のためにあたしが関くん連れて来いって言ったか分かる?」

そう言って玲子は綺麗に笑った。



…やっぱり玲子はすごい。


運動が苦手(なんだろう、多分。さっきまでの練習を見る限り、俺はそう思った。)な松岡さんが他の女子たちから嫌がらせをうけている


それだけの状況から、嫌がらせの原因を突き止めるだけでなく、解決方法まで用意してくれた。


だけど…


「それって、英嗣をエサにするってことだろ?だとしたら、俺には出来ないよ。俺、あいつを裏切りたくないから」



中学の頃から俺はずっと英嗣を守ってきた。

人よりも恵まれ過ぎた容姿のせいで…

ただそれだけで、辛い思いをし続けた英嗣…

俺は、もうあいつを苦しめたくはない。

自惚れるつもりはないけど、英嗣は俺を誰よりも信頼してくれているんだ。

そんな俺が英嗣を利用するなんて真似、いくら松岡さんを助けるためとはいえ、していいはずがない。
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