午睡は香を纏いて
「カイン様とお勉強があるでしょ? それに、カサネちゃんは鶏たちとすぐ喧嘩するからさ」


う、と言葉に詰まる。
ここの鶏はどうも血気盛んで、しかもあたしを敵対視している節がある。
足を踏み入れたが最後、襲い掛かってくるのだ。

しかしあたしも、小学校時代生き物係だった意地がある。
鶏に気圧されてばかりはいられない。
絶対に懐かせてみせる、と誓って毎日飛び掛ってくる白い敵に向かっているのだ。

そのことは誰にも気付かれていないだろうと思っていたのに、バレていたのか。


「あんまり鶏とじゃれたらダメだよ。嘴で怪我でもしたら大変だからね」

「大丈夫。あたし生傷くらいどうってことないし」

「そんなこと言わないの。カイン様も呆れてたよ」

「え!? 何でカインまで知ってるの?」


「この間カサネちゃんが鶏舎にいる時に、カイン様がいらっしゃったんだ。カサネちゃんの声が家にまで響いてきてさ、それで」


カインにまでバレていたとは。
呆れ顔が簡単に想像できてしまう。
さぞかし冷たい様子だったことだろう。


「そろそろ朝ご飯だよね? 行こう」


肩を落としたあたしをくすりと笑い、アイスは先を歩いた。




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