午睡は香を纏いて
* * *

朝食後、掃除などの仕事を済ませてからカインの部屋に行くのが、あたしの日課になっている。
今日はアイスのお陰で鶏舎の掃除がなくなったので、早めに行くことにした。
とことこと歩いていると、結構な人とすれ違う。
邑人のほとんどの名前は覚えたので、挨拶を交わしながら進む。

囲いに放した豚の見張りをしているのは、ジーノさんという白髪のおじいさん。
定位置らしい一番大きな杭に座り、いつも煙管に似たものを手にしている。
ケイルという名前の、タバコのような嗜好品の一種らしい。

挨拶をすれば、うむ、と頷いてくれる。
気難しい人のようで、それ以上の会話はない。
美味しそうに紫煙をくゆらす姿に今日も挨拶をして、通り過ぎた。


邑の会議所兼、レジィの家が邑の奥にあり、その離れがカインの部屋になっている。
離れに行く前に母屋を覗くと、数人の男の人が地図を見ながら話をしているところだった。


「みなさん、おはようございます」

「あ、おはようございます。カサネ様」

「あの、レジィはまだ戻ってないんですか?」

「はい。そろそろ戻られると思うんですがね」


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