午睡は香を纏いて
「なんだ。にやにやして」


素直じゃないカインに暖かい視線を送っていたつもりだったのに、カインは訝しそうに唇を曲げた。


「にやにやとか言わないでよ。にこにことかに表現変えて」

「細かいことはいい。それより、喋りすぎて喉渇いた。ぬるいお茶飲みたい」

「あ、うん。そろそろ休憩にしよっか。あついのでいい?」

「ぬ・る・い・や・つ」


む、としたように唇を尖らせるカインにふふんと笑って、茶器を取りに席を立った。



母屋に行きながら、さっきの話を思い返す。

結構緊迫した話だったな。
儀式の前の巫女姫と、監禁状態の神官、それに復讐を失敗した山賊の逃亡、か。


「すごい、なあ……」


まるで物語の一節のような出会いだ。
その三人が仲良くなって、共に行動していくのか。

ぼんやりと描いているサラ像に、新しい情報を加える。
外見はどうにかイメージが固まってきているけど、性格はまだあやふやな状態のままなのだ。

山賊を助けて逃亡を図る行動的な人、か。
ううん、同じことをあたしに出来るかどうか怪しいな。
侵入してきた山賊という男の人に出会ったら、まず竦みあがってしまいそうだし。
ぎゃあ! なんて悲鳴をあげてばったり気絶、なんて情けないことになりそうだ。

でも、その男の人はレジィなわけで、レジィだったら気絶はしなくてすむかもなあ。
って、気絶はしなくても、レジィを連れて逃げる、なんてこと出来るわけない、か。



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