午睡は香を纏いて
「取ってやる、とは言ったものの、外から働きかけるだけじゃどうにも難しい。
外と内から同時に力を与える必要がある」

「ええと、内って、あたし?」

「ああ。カサネからも、命珠を切り離す為に力をかけるんだ」


机に残っていた紙とペンを引き寄せ、カインは大きな円と、その中に小さな円を書いた。


「これ、カサネの魂と、その中の命珠な。で、今はこの大きな円の外側から、小さいのを引っ張り出そうとしてるわけだ。
でも、これが張り付いて離れない。
だから、こっちの大きい円からも、小さな円を押し出す力が欲しい、と」


力の流れを示す矢印が書き込まれていくのを、ふむふむと眺めていて、訊いた。


「つまりはあたしが押し出すってことだよね。出てけ! とか念じればいいの?」


ふ、と鼻であざ笑ったカインは、ペンを放った。


「それで済むのであれば、俺はいらないな?
話はそんなに単純明快じゃない。巫女としての力、巫力が必要なんだ」


あ、馬鹿にされた。
文句の一つでも、と口を開きかけて、閉じる。

巫力?


「巫力って、あたしがどうにかできるものなの?」



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