午睡は香を纏いて
「かも、としか言えなくて悪いけど。
で、どう? 会いに行かないか」


少し、躊躇った。サラの両親に、サラの生まれ変わりです、なんて言って会わなくちゃいけないの?
まるで違う人間なのに、ショックを与えてしまうんじゃないだろうか。


「あ、のさ。あたしのこと、サラの転生後です、なんて説明しなくちゃいけない?」

「ん? ああ、いや、しないつもりだけど。サラの両親はごく普通の貴族で、取り立てて信仰に篤いわけじゃない。
そんな人間に転生だ何だと説明しても、無駄に混乱させるだけだろ」

「あ、そうなんだ。じゃあ……行くよ」


多少気が楽になって、こくんと頷いた。

とは言え、サラの記憶が多少なりとも戻るということに、少しの不安を覚える。
自分の中の奥深くに、もう一人分の記憶がある。
欠片だとしても、それが現れた時、あたしの心にどんな変化をもたらすのだろう。

自分が変わるかもしれないというのは、怖い。

でも、そんな感傷めいたこと、言ってはいられない、よね。


「それなら、助かる。じゃあレジェスが帰ってきたら行くことにしよう。あいつにも言っていかないとな」

「うん。で、サラの両親って、どこに住んでるの?」

「ブランカ」


カインは事も無げに言った。
ブランカって確か王都ってところで、リレトの本拠地的なところじゃなかったっけ? 

数週間前、必死に逃げたことまで思い出してしまい、ぶるっと震えた。



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