午睡は香を纏いて
「お前の友人は、この世界と関係がない。この世界の問題には関わらなくていい人間なんだ。
友人だからといって巻き込むわけにはいかない。
だから、絶対に助ける。信じてくれ」


凛とした声音は、カインの想いを真っ直ぐ受け入れさせてくれた。
さっきまで素通りしていった言葉が心に残る。

今度は、素直に頷けた。


「ごめん……。信じる」
「ああ」


莉亜がこの世界に連れて来られているとしても、きっと無事でいる。そしてきっと、莉亜を助けることができる。
今は、そう信じよう。
カインの手が、ゆっくりと背中を撫でてくれる。
波立ったあたしの心を鎮めようとしてくれてるみたいだ。

どうしてだろう。
これ、すごく落ち着く……。

その温もりが何度往復した頃だったのか。カインが口を開いた。


「もう、平気か?」


気持ちはすっかり落ち着いていて。
それどころか、心地よさに少しぼんやりしてしまっていた。


「……うん。あの、ありが、と、う」


お礼を言おうと顔を上げると、吐息がかかるくらい近くにカインの顔があった
。いつもは前髪に隠れてるはずの右目が露になっていて、ダイレクトに視線が絡む。

その瞬間、顔が爆発しそうなくらい熱くなった。


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