午睡は香を纏いて
転送の衝撃は距離に比例する、と教わった。

ということで、異世界から転送されたことを思えば今回は近距離だといえるよね、と思っていた。
が、甘かった。
衝撃はゼロになると言われたわけではなかったのだ。

今回は平気かも、と楽観視していたあたしは、ブランカ郊外の木立の陰でかれこれ半刻ほど、ダウンしていた。

尋常ならざる力は、多少弱くなったとしても人があがらえるものじゃないのだ。
ようく理解できました。

というか、すごく便利な技だとは思うけど、人に優しくなるような改良とかできないものだろうか。


「大丈夫か、カサネ。これ飲めるー?」


目の前に皮袋が差し出された。のほほんとした声の主は、セルファだ。


「向こうの川で汲んできた。冷たいぞー」

「ありがと……。セルファは、あれ平気なんだね」

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