午睡は香を纏いて
本当に子供に語るように、セルファは節をつけて話を続けた。


「その力と信仰心は果てしなく、それは武神パヴェヌにまで認められるところとなりました。
ある日のこと、パヴェヌはリアヌの頭に直接話しかけてこられました。
どこそこの島から荒海を渡って西へ行き、新たな大陸へ向かうように。
そして、その土地で神である自分を奉り、自分に仕えるための神殿を建立すること。
そうすれば、自分はお前たちを加護し、土地を守り続けることを約束しよう、と。
彼は神の言葉を信じ、数人の仲間と共に船を出すことにしました。

でまあ、それからは物語らしく化け物に襲われたり嵐にあったり、なんつー紆余曲折があったりするわけだけど、そこらへんは、いーや。

とにかくリアヌはヘルベナ大陸を発見し、その国の王となりました。そして天啓に従いヘルベナ神殿を建てました、と。

お陰でアデライダは武神パヴェヌに加護された平穏な国になりました。めでたしめでたし」


ぱちぱちと自分で拍手をして、セルファは不快そうに顔に咲く花を歪めた。


「なんて、全然めでたくないけど。
これって、王家が作った嘘なんだよね。
他国から侵略しにきた、じゃ体裁が悪いから、さ。
大体、神が命じて造らせた神殿にしちゃ、欲まみれで汚いったらないよね」


吐き捨てるように言った。
それからすぐに、普段見せない嫌悪の表情に驚いたあたしに向かって、取り繕ったような笑みを浮かべてみせた。


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