午睡は香を纏いて
「さて、じゃあどこから話そうか」
レジィが、ふ、と表情を改めた。ぴり、と空気が変わる感覚。
思わず背筋を伸ばした。
「まず、この場所についてだけど。ここはカサネのいた世界とは、違う。
この空をずっと辿っても、カサネのいた世界には辿り着けない。別世界なんだ。
そしてここは、ヘルベナ大陸を支配する、アデライダ国。もっと細かく言えば、ファム公爵の領地、ヤシムスだ」
「は……」
聞いたことのない地名の羅列に、呆然とした。
何より、別世界?
別世界って、どういう意味だっけ。異世界とか、そういうのと同じ意味だったよね。
で、異世界って、ゲームとかでよくあるアレだよね?
「そしてカサネは、元々この国の人間だった。名前はサラ。
ヘルベナ大神殿の巫女姫だったんだ。サラは亡くなって……そのサラが転生したのが、カサネなんだ」
「ちょ、ちょっと待って!」
先の内容にフリーズしてしまっていたのだけれど、慌ててレジィの言葉を遮った。
「サラって、あたしの『前世』ってことですか!?」
「ああ、そうだ。カサネは、サラの魂が転生した姿なんだ」
事も無げに言ったレジィの顔をまじまじと見た。
本気で言ってる、わけ? 魂とか、転生とか、そんな言葉は創作物の中でしか縁のないものでしょ?
「この国は三年前のサラの死以来、荒れ放題だ。このままでは民は死に絶え、国は滅びてしまう。
カサネの力が必要なんだ。
サラが亡くなって、俺たちはサラの転生先を探した。俺は神官じゃないからよくわかんないんだけど、カサネの魂にはでかい目印がついているようなものらしい。
それでも、見つけるまでに三年かかった」
「待って! 待って下さいっ」
ダメだ。ついていけない。
こんな話を理解しろって言われても、無理。
だいたいどうしてあたしが絡んでいるのかが分からない。
「サラ、って三年前に亡くなったんでしょう? あたしは十六ですよ? 計算が合いません」
突っ込むところは多々あれど、とりあえず分かりやすい矛盾から指摘していこう。
三年前に亡くなった人が、今十六歳な訳がない。
レジィが、ふ、と表情を改めた。ぴり、と空気が変わる感覚。
思わず背筋を伸ばした。
「まず、この場所についてだけど。ここはカサネのいた世界とは、違う。
この空をずっと辿っても、カサネのいた世界には辿り着けない。別世界なんだ。
そしてここは、ヘルベナ大陸を支配する、アデライダ国。もっと細かく言えば、ファム公爵の領地、ヤシムスだ」
「は……」
聞いたことのない地名の羅列に、呆然とした。
何より、別世界?
別世界って、どういう意味だっけ。異世界とか、そういうのと同じ意味だったよね。
で、異世界って、ゲームとかでよくあるアレだよね?
「そしてカサネは、元々この国の人間だった。名前はサラ。
ヘルベナ大神殿の巫女姫だったんだ。サラは亡くなって……そのサラが転生したのが、カサネなんだ」
「ちょ、ちょっと待って!」
先の内容にフリーズしてしまっていたのだけれど、慌ててレジィの言葉を遮った。
「サラって、あたしの『前世』ってことですか!?」
「ああ、そうだ。カサネは、サラの魂が転生した姿なんだ」
事も無げに言ったレジィの顔をまじまじと見た。
本気で言ってる、わけ? 魂とか、転生とか、そんな言葉は創作物の中でしか縁のないものでしょ?
「この国は三年前のサラの死以来、荒れ放題だ。このままでは民は死に絶え、国は滅びてしまう。
カサネの力が必要なんだ。
サラが亡くなって、俺たちはサラの転生先を探した。俺は神官じゃないからよくわかんないんだけど、カサネの魂にはでかい目印がついているようなものらしい。
それでも、見つけるまでに三年かかった」
「待って! 待って下さいっ」
ダメだ。ついていけない。
こんな話を理解しろって言われても、無理。
だいたいどうしてあたしが絡んでいるのかが分からない。
「サラ、って三年前に亡くなったんでしょう? あたしは十六ですよ? 計算が合いません」
突っ込むところは多々あれど、とりあえず分かりやすい矛盾から指摘していこう。
三年前に亡くなった人が、今十六歳な訳がない。