午睡は香を纏いて
「そういうの、カインの方が説明すんのが上手いんだよなあ。

まあいいや。世界ってのは、それぞれ時の流れが違うんだとさ。
カサネが生まれた世界と、この世界とじゃ、時間の流れ方が違う。こっちの三年が、カサネのいた所だと十六年に相当するんだろうな」 


あっさりと答えられた。
と言っても、時間の流れなんて言われてもピンとこないけど。


「まあ、俺たちにとって、この差は都合がよかったけどな。赤ん坊だったら連れて来るのは難しいし、ましてやバアちゃんになってたら転送の衝撃で死にかねないもんな」


あはは、と声を上げて笑うレジィ。あの、笑いごとじゃないんですけど。


「と、悪い。すぐ脱線するんだよな。それでよくサラにも怒られた」


険しい顔のあたしに気付いたのか、へへ、と笑ってから、レジィは顔を引き締めた。


「本当によかったんだ。この国はサラがいないと救えないんだから」

「あ、あの。あたしが本当に、その、サラさんの生まれ変わり、だって言うんですか?
人違いの可能性はないんですか?」


あたしに『サラ』なんて女性の記憶はない。
転生だの何だの言われても、引っかかるものすらない。
なにより、ごく普通の女子高生なあたしが、国を救うだなんて無理にも程がある。



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