午睡は香を纏いて
「あの、ええと」

「今日はもう、おしまい。部屋に戻りなさいな」

「え?」

「その石がきっと私たちを再び引合わせるはず。次に会ったときに、色々話しましょう、サラ」


ゆらりと手が揺れたかと思うと、左側の燭台の火が消えた。室内が一気に薄暗くなり、つい腰を浮かせかけた。


「あ、あの!?」

「血を与えた者に気をつけなさい。共有した者を慈しみなさい」


右側の火も消えた。
真っ暗になり、ガタンと大きな音を立てて立ち上がると同時に、後ろから腕を掴まれた。


「ひ!?」

「占いはお済みのようですね、ユーマさま」

「シ、シルさん!?」


酒場の明かりを背にしたシルさんが、カーテンの隙間から身を乗り出すようしていた。


「お部屋のランプに油も足しました。もう戻られますか?」

「あ、えと……、え?」


振り返ると、さっきまで座っていたはずのローブの人の姿が掻き消えていた。

いついなくなったの? 動く気配なんてしなかったのに。

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