午睡は香を纏いて
シルさんを見上げた。背の高いシルさんは、見上げても表情が窺えない。
この様子を、ただの宴会だと思ってしまったあたしを諌めてくれているのだろうか。


「貴方はそれができる。これも、力の使い方の一つです」

「ち、から?」

「そうです。さ、そろそろお部屋へ戻りましょうか」


シルさんはついと視線を階段に向けた。


「あ、えと、もう大丈夫です。一人で戻れます」

「ふ、む。そうですか。では、私はこれで失礼します」


言い置いて、シルさんは『死人の宴』と自ら呼んだ場所へ去って行った。
その後ろ姿を、呼び止める言葉が見当たらず、見送った。

さっきの言葉、どういう意味合いで口にしたんだろう。
占い師の言葉といい、分からないことだらけだ。

呆然としていると、背中にどん、と衝撃があった。


「おう、あぶねえぞ、坊主」


ぶつかったのは、足取りも覚束ない、深酔いした男の人だった。
無精ひげで覆われた頬はこけていて、目だけがぎょろぎょろと浮き出ていた。
瞳を覗き込まなくとも、輝きはなく、生気と呼べるものがないのがわかった。


「じろじろとなんだ、坊主。喧嘩でもやりたいのか? ああ?」

「あ! いえ、すみません!」



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