午睡は香を纏いて
いたた、とお尻を擦りながら見上げると、腕組みをして、男をじろりと睨みあげるシルヴェーヌさんがいた。
男は蛇に見つめられたカエルのように身を竦ませ、言い訳のようなことをもぐもぐと言っていたが、


「す、すまねえ。知らなかったんだ」


と頭を垂れた。


「酔うのはアンタの好きにしていいけどね、こんな坊やに絡むような真似は止めな」

「あ、ああ。そうする。すまねえな、坊主」


言い置いて、男は逃げるようにしてその場を去った。
その背中が酒場の奥へと消えていくのを目で追っていたシルヴェーヌさんが、あたしを見下ろした。


「大丈夫だったかい? すまないね、ウチの客はみんな躾けがなってなくてね。ほら、立てるかい?」

「あ、すみません」


指輪がたくさんついた手を差し出され、握り返した。手を借りて立ち上がる。


「助けてくれてありがとうございました」


ぺこんと頭を下げて、存外背の高いシルヴェーヌさんを見上げた。
と、シルヴェーヌさんは握った手をまだ離してくれない。


「あ、あの?」



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