午睡は香を纏いて
「ああ、でも」


継ぎ足したお酒をちろりと舐め、ふふ、と笑った。


「でも、あいつの話だけは、少し聞かせてもらいたいのさ。いや、ちょっとしたことでいいんだけどね」

「あいつっていうと?」

「金眼の犬っころさ。酷い怪我だったのにまあ、生きてるなんてずぶといねえ。
今はどんな調子だい?」


昼間の、セルファとの会話のことだろうか。確か手負いの獣、とかそういう話をしてたよね。
でも、金眼の犬なんて知らないし……って、金の瞳?
それならば、一人だけ連想する人がいる。
それに、犬っぽい人、だとすれば尚更その人しかいないように思う。

名前を口にしかけて、慌てて噤んだ。


「ええーと、あの、大型で、金眼に金の毛並みの、ええと、犬の話ですか?」


言葉を選びながら訊くと、そうそう、あのえらく綺麗な奴、と頷かれた。

間違いない、レジィだ。


「すごく元気です。ええーと、山の中を走り回ってます」

「それはなにより。じゃあ、心も生きてんだね?」


え、心? 首を傾げて、けれど頷いた。


「心も元気、です。いつもにこにこ笑ってるし、溌剌としてるし。生き生きしていますけど」
< 238 / 324 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop