午睡は香を纏いて
「外の騒ぎとあいつらが関係しているのかどうかは、知らないよ。でも、神武団たちに見つかっちまったらどう考えてもしょっぴかれる怪しさだよねえ。
仕方ないから、ここでしばらく、面倒みてやるって言っちまったんだよ」


多分、というか絶対気付いていただろうに、シルヴェーヌさんは『知らない』と殊更強く言った。

この人は分かっていてレジィたちを助けたんだ。

しかし、そんなあたしの考えが分かったのか、シルヴェーヌさんはふん、と鼻を鳴らした。


「まあ、あいつらが神殿を襲った賊だってんなら、二・三回ぶん殴っておけばよかったと思ってるんだけどね。
あいつらが成功していたら、今ほどにはここも荒れてなかっただろうからねえ」


言って、すぐに肩を竦めた。


「ああ、いや、それでもやっぱりできなかったかねえ。あの時のあいつにそんなこと。
セルファはともかくとして、犬っころの方なんて生きてるだけの人形のようだったからね。
息はしてるけど、食べ物を受け付けず、喋らず。顔は無表情で、目は開いてるけどなーんにも見ちゃいないんだから」


耳を疑うような内容で、言葉が出ない。
本当にあのレジィの話なの? だってあの人は生命力に満ち溢れてる。
でも、シルヴェーヌさんは嘘を言っているそぶりなんてない。苦々しい思い出なのか、唇を歪めていた。 


「無理やり水やスープを流し込んでみたけど、食べたとは言えない量でね。薬だって飲もうとしてくれない。
そんなことじゃあ怪我が治るはずもないだろう? せっかく助けた命なのに死なせちまうって、あの時は本当に焦ったねえ」

「…………そう、ですか」


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