午睡は香を纏いて
信じられない、と言いたいのだが、当然なのかもしれない、と思う。
『唯一無二の女』と評したサラの、凄惨な死を目の当たりにした後なのだ。心が死にかけてもおかしくない。
レジィはそれほどまでにサラが大切だった、そういうことなのだ。
「それから半月ほどここにいたけど、目を離した隙にいなくなっちまった。
二人ともまだ治ってないし、あいつなんか自力で立てない状態でさ、こりゃ死んだな、と思ったねえ。
でも、あんたの話だと、あいつは元気に生きてるみたいだ。アタシの知っている奴とは別人のようだよ」
確かに、あたしの知っているレジィはいつも笑っていて、明るくて、シルヴェーヌさんの話のレジィとはまるで別人だ。
そんな、心が死んでいたという酷い状態から、レジィはどうやって回復したのだろう。
レジィにとっての三年間って、どんなものだったんだろう。
想像もつかなくて、無性にレジィの笑顔が見たくなる。あたしを迎えに来てくれた時の、曇りのない温かい笑顔を、今。
「セルファも昔みたいに笑顔を見せてたし、正直ほっとしたよ。
こんなご時世だ。関わった人間が息災だって聞けるのが、一番嬉しいよ。
と、しゃべりすぎちまったかねえ。さあ、アタシの知ってる話はもうおしまい」
いけないいけない、とシルヴェーヌさんはバツが悪そうに口を噤んだ。
「あ、あの。教えてくれてありがとうごさいました」
ぺこんと頭を下げると、シルヴェーヌさんは返事をせず、グラスに注ぎ足したお酒を半分ほど一息に飲んだ。
ちらりとあたしを見る。
「アンタ、あの犬っころのこと……」
「はい?」
『唯一無二の女』と評したサラの、凄惨な死を目の当たりにした後なのだ。心が死にかけてもおかしくない。
レジィはそれほどまでにサラが大切だった、そういうことなのだ。
「それから半月ほどここにいたけど、目を離した隙にいなくなっちまった。
二人ともまだ治ってないし、あいつなんか自力で立てない状態でさ、こりゃ死んだな、と思ったねえ。
でも、あんたの話だと、あいつは元気に生きてるみたいだ。アタシの知っている奴とは別人のようだよ」
確かに、あたしの知っているレジィはいつも笑っていて、明るくて、シルヴェーヌさんの話のレジィとはまるで別人だ。
そんな、心が死んでいたという酷い状態から、レジィはどうやって回復したのだろう。
レジィにとっての三年間って、どんなものだったんだろう。
想像もつかなくて、無性にレジィの笑顔が見たくなる。あたしを迎えに来てくれた時の、曇りのない温かい笑顔を、今。
「セルファも昔みたいに笑顔を見せてたし、正直ほっとしたよ。
こんなご時世だ。関わった人間が息災だって聞けるのが、一番嬉しいよ。
と、しゃべりすぎちまったかねえ。さあ、アタシの知ってる話はもうおしまい」
いけないいけない、とシルヴェーヌさんはバツが悪そうに口を噤んだ。
「あ、あの。教えてくれてありがとうごさいました」
ぺこんと頭を下げると、シルヴェーヌさんは返事をせず、グラスに注ぎ足したお酒を半分ほど一息に飲んだ。
ちらりとあたしを見る。
「アンタ、あの犬っころのこと……」
「はい?」