午睡は香を纏いて
「ともかく、接見に問題はない。
カサネはそんなことは気にせず、ただ血が呼び合うように相手の心に触れようとしてくれ」

「え? 心に、触れる?」

「心を近しくする、と言ったらわかるか?
正直なところ俺も、血縁というものがどこまで個人の魂に作用するのか分からん。
もしかしたら、体が触れるだけで何か起こるかもしれないし、感情を重ねて魂を共鳴させるレベルまで持っていかなければ、変化はないかもしれない。これだ、ということは言えない。

だからなるべく、相手の心に、感情に触れるように努めて欲しい」


今回の最大の目的は、サラの記憶や力を引き出すこと。
手の込んだ嘘をついてでも、それを成し遂げなくてはいけない。
それがあたしから命珠を切り離し、破壊するきっかけになるのだから。


「……や、やってみる。少しでも、何か得られるように努力する」


カインとセルファがじっとあたしを見ていることに気付き、深く頷いてみせた。


「頼む。じゃあ、俺はまだ支度が残ってるので、行く。セルファはカサネを頼む」


小さく頭を下げてから、カインは隣室に戻ってしまった。
次いで、部屋を出て行ったのか、ドアが開閉する音がした。


「さーて。じゃあカサネも巫女姫の衣装に着替えてもらうよー。
あ、その前に、向こうの部屋に食事の用意がしてあるから、さくさくっと食べちゃって」

「あ、う、うん」


セルファに促されて、ベッドから降りた。ぼやぼやしている暇はない。
これから大変な一日が待っているんだ、気を張っていないと。


「まだ緊張しなくても大丈夫だよ。ほら、そんな顔しない」


無意識に唇を強く引き結んでいたらしい。セルファに片頬を摘まれた。

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